相続人がいない場合
相続人がいない=相続人不存在
「そもそも、
相続人がいない場合なんてあるのですか?」
一般の方は、こんな疑問を持たれるかもしれませんね。
非常に稀なケースではありますが、相続人がいない事例(=
相続人不存在の事例)は確かに存在します。
具体的には、次のようなケースが、相続人不存在の事例になります。
- 戸籍上、相続人がいないとき(相続権のある人が全て死亡しているとき)
- 戸籍上は相続人がいるけれども、その全員が相続欠格、廃除、相続放棄などによって相続権を喪失しているとき
相続人不存在の場合の手続
相続人がいない場合の手続の流れは次のとおりです。
- 相続財産清算人選任の公告(民法952条2項)
- 相続債権者及び受遺者に対する公告(民法957条1項)
- 特別縁故者に対する相続財産の分与(民法958条の2)
- 共有者への財産帰属(民法255条)
- 相続財産の国庫帰属(民法959条)
相続財産清算人選任の公告
まずは利害関係人の申立てによって、家庭裁判所が、相続人の代わりに相続財産を清算する人(=
相続財産清算人)を選任し、公告を行います。この期間は6ケ月以上になります。
相続債権者及び受遺者に対する公告
相続財産清算人選任の公告の後、相続財産清算人が、債権者と受遺者(=遺贈を受ける人)に対して、2ケ月以上の期間を定めて、請求の申出をするように公告を行います。
特別縁故者に対する相続財産の分与
相続人の不存在が確定した場合、相続人と特別に近い関係にあった者に対して、相続財産を分与する制度があります。
ただ、いろいろと法律上の問題(争点)があり、簡単に認められるわけではありません。
共有者への財産帰属
相続人が不存在であり、特別縁故者もいない場合、被相続人が他人と共有していた相続財産については、他の共有者に帰属します。
例えば、私道が被相続人Xさんと近所のAさんの共有だった場合、Xさんに相続人も特別縁故者もいなければ、この私道のXさん持分はAさんに帰属することになります。
相続財産の国庫帰属
相続人が不存在であり、特別縁故者も共有者も存在しない場合には、その相続財産は国庫に帰属します。
特別縁故者に対する相続財産の分与
相続人不存在の場合、相続財産はまずは特別縁故者に対して分与されます(民法958条の2)。
特別縁故者とはどのような人を指すのかが問題となりますが、特別縁故者と認められたものの例は次のとおりです。
- 内縁の妻
- 事実上の養子
- 事実上の養親
- 継母
- 未認知の非嫡出子
- 長男の妻
- 叔父・叔母
なお、その人が特別縁故者に該当するのか、また特別縁故者にいくらの財産を与えるのか、こうした点は家庭裁判所が決めることになっています。
いくら自分が被相続人のために尽くしたと主張しても、家庭裁判所が認めない可能性もあるので注意してください。
特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合の税金
特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には、その財産を遺贈により取得したものとみなされます。
そして、もらった財産が基礎控除額を超えた場合には相続税が課されます。
特別縁故者は必ず2割加算の対象になります。
相続人不存在に関するポイント整理
ここで相続人不存在に関するポイントを整理しましょう!!
- 戸籍上相続人がいない場合のほか、戸籍上の相続人全員が相続放棄をした場合も、相続人不存在の場合に該当します。
- 相続人不存在が確定した場合には、相続財産は特別縁故者、共有者、国庫の順に帰属することになります。
- 特別縁故者にどれくらいの財産を渡すのかは、家庭裁判所が判断します。
- 分与を受けた財産の額が一定額を超えると、特別縁故者にも相続税が課されます。
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